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CHANGE-seqがCRISPR–Cas9のゲノム規模の活性に対する遺伝的影響とエピジェネティックな影響を明らかにする

Nature Biotechnology 38, 11 doi: 10.1038/s41587-020-0555-7

CRISPR–Cas9ヌクレアーゼのゲノム規模の活性を明らかにすることは現在の方法でも可能であるが、これを、Cas9の特異性を支配する原理の十分な解明に必要な処理能力まで拡張することは容易ではない。本論文では、Cas9のゲノム規模の活性をタグメンテーションに基づいてin vitroで測定する拡張・自動化可能な方法CHANGE-seq(circularization for high-throughput analysis of nuclease genome-wide effects by sequencing)を紹介する。ヒト初代T細胞の13の治療関連座位にわたる110か所のシングルガイドRNA標的にCHANGE-seqを用いた結果、オフターゲット部位が20万1934か所発見され、オフターゲット活性を予想する機械学習モデルの訓練が可能となった。対応するゲノム規模のオフターゲット、クロマチンの修飾と接近可能性、および転写のデータを比較したところ、細胞のオフターゲット活性は活性状態のプロモーター、エンハンサー、転写領域の近傍に2~4倍多く認められやすいことが分かった。また、8人のゲノムにわたる6か所の標的をCHANGE-seqによって解析した結果、解析対象のオフターゲット部位の約15.2%でヒトの一塩基多様性が有意な影響を及ぼしていることが明らかになった。CHANGE-seqは、ゲノムエディターの特異性を明らかにするための簡便かつ高感度で拡張可能な手法である。

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