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水混入物質を迅速に検出する無細胞バイオセンサー

Nature Biotechnology 38, 12 doi: 10.1038/s41587-020-0571-7

安全な飲料水が手に入らないことは世界的な問題であり、汚染物質を確実かつ容易に検出する方法があれば状況は大きく変わる可能性がある。今回我々は、ROSALIND(RNA Output Sensors Activated by Ligand Induction)を使って水中の汚染物質を検出する無細胞in vitro転写系を開発したことを報告する。この系では、連続移動性の高いRNAポリメラーゼ、アロステリックタンパク質転写因子、および合成DNA転写テンプレートの組み合わせが蛍光活性化RNAアプタマーの合成を調節する。対象の汚染物質が存在するとアプタマーの転写が誘導され、蛍光シグナルが発生する。我々はROSALINDを用いて、抗生物質、低分子、金属など、水に含まれるさまざまな汚染物質を検出した。また、RNA回路を加えることで、タンパク質工学によらずに、反応の反転、クロストークの抑制、および感度の向上が実現されることも明らかになった。ROSALIND系は凍結乾燥することで保管や流通が容易になることから、我々はこれを都市用水の検査で実地に用い、水質モニタリングでの潜在的有用性を実証した。

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