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導入遺伝子によらない細胞療法用の安全スイッチを代謝工学で作製する

Nature Biotechnology 38, 12 doi: 10.1038/s41587-020-0580-6

保護機構は、細胞療法の潜在的なリスクを軽減することができるが、現在は導入遺伝子の導入に依存している。このため、保護機構の応用は、免疫原性や導入遺伝子のサイレンシングによる制約を受けている。本研究では、導入遺伝子に依存しないヒト細胞の制御機構の構築を目指した。我々はゲノム編集法を用いて、細胞株、多能性細胞、および初代ヒトT細胞でピリミジン新規合成経路のウリジン1リン酸シンセターゼ(UMPS)を破壊した。これによって増殖が外部からのウリジンに依存するようになり、in vitroでも、異種移植片モデルの移植後のin vivoでも、細胞増殖をウリジン供給の調節によって制御できることが示された。また、この経路を破壊すると5-フルオロオロチン酸への耐性が生じ、UMPSノックアウト細胞の正の選択が可能となる。この方法は、細胞療法の安全レベルを向上させ、よりリスクの高い方法、特に短い治療期間を想定した方法の開発を可能にすると考えられる。

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