Analysis

キメラ抗原受容体で改変される細胞の治療領域

Nature Biotechnology 38, 2 doi: 10.1038/s41587-019-0329-2

キメラ抗原受容体(CAR)を用いる臨床試験の数は世界的に急増しているが、その範囲、標的、および計画に関する包括的な調査は行われていない。本論文では対話型のCAR臨床試験データベースを紹介する。これは20カ国の500件を超える臨床試験のT細胞(CAR-T)、ナチュラルキラー細胞(CAR-NK)、または混合系(CAR-NK/T)で展開される64種類の標的にわたるものであり、患者数は2万例を超える。そのデータを転写およびプロテオームのデータと組み合わせることで、78種類の組織、124種類の細胞型、および20種類のがんにわたり1万3206種類のタンパク質およびRNAに基づくCAR細胞療法の「標的化可能な領域」が示された。そのデータから、100個以上の単独標的および論理スイッチを用いる10万組以上の標的ペアからなるCAR細胞工学の領域が示唆された。CAR細胞治療の領域に関する今回の分析は、今後の治療法の設計、標的と患者のマッチングの改善、そして究極的にはCAR治療の安全性および有効性に関する理解の一助となる可能性がある。

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