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統合型灌流装置がヒト損傷肝を1週間保存する
Nature Biotechnology 38, 2 doi: 10.1038/s41587-019-0374-x
代謝活性を有する肝臓をex vivoで1週間保存することができれば、質が低く移植に適さないはずであった肝臓が修復される可能性がある。正常温で灌流を行う現在の手法でヒトの肝臓が保存されるのは24時間までである。本論文では、グルコースレベルおよび酸素供給の自動管理、生成老廃物の除去、ならびにヘマトクリットの制御を含む複数の重要な生理学的機能を統合した肝灌流装置を紹介する。装置の開発はブタの肝臓を用いて段階的に行った。複数のex vivoパラメーターおよびin vivo再灌流の初期段階を調べたところ、血液製剤の追加も灌流液の交換も行わずに1週間の灌流を行ったブタ肝臓が生きていることが示された。ヨーロッパのあらゆる施設で移植を断られたヒト損傷肝10点でこの手法を試験した。7日間の灌流後、そのヒト肝臓のうち6点は、胆汁の生成、凝固因子の合成、細胞エネルギー(ATP)の維持、および肝臓の正常な構造を指標として、機能が維持されていることが示された。