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ヒトホスホプロテオームの機能的全体像
Nature Biotechnology 38, 3 doi: 10.1038/s41587-019-0344-3
タンパク質リン酸化は、ほぼ全ての細胞過程でタンパク質の機能を調節している重要な翻訳後修飾である。ヒト細胞にはリン酸化部位が何万カ所も見いだされているが、個々のリン酸化部位の機能的重要性を明らかにする方法は存在しない。今回我々は、ヒトの104種類の細胞型または組織から得られたリン酸化濃縮タンパク質(phospho-enriched protein)のデータセット112組のキュレーションを手作業で行った。我々の品質管理基準に適合した6801件のプロテオミクス実験を再解析し、ヒトのリン酸化部位11万9809カ所を含む参照ホスホプロテオームを得た。機能性部位の優先度評価を行うために、機械学習を使ってプロテオーム、構造、調節、または進化との関連が認められる特徴を59種類発見し、1つの機能性スコアにまとめた。この方法でさまざまな分子機構、過程および疾患の調節性リン酸化部位が発見され、遺伝的感受性がゲノム規模で明らかになった。SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体の一部であるSMARCC2のリン酸化部位に関して神経分化での役割が明らかになるなど、複数の調節性リン酸化部位が実験によって確認された。