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リン酸化プロテオームデータからリン酸化酵素ネットワークの接続形態を再現することによってがん関連の組み替えを明らかにする
Nature Biotechnology 38, 4 doi: 10.1038/s41587-019-0391-9
がん化変異が調節タンパク質のネットワークをどのように組み替えるのかを理解することは、腫瘍形成機序の説明およびがん治療の個別化に重要である。本論文では、哺乳類細胞のリン酸化酵素シグナル伝達ネットワークの接続形態を明らかにする化学的リン酸化プロテオーム法を紹介する。我々は、1500件以上のリン酸化酵素間相互作用の推定に利用可能なタンパク質リン酸化部位を6000カ所以上発見し、そのリン酸化プロテオームデータからリン酸化酵素ネットワークの接続形態を再現することができるアルゴリズムを考案した。原発性急性骨髄性白血病および乳がんの腫瘍に我々の方法を用いることにより、リン酸化酵素の発現と活性との関係が定量化され、薬剤耐性表現型または特定の遺伝子変異と関連するこれまで知られていなかったリン酸化酵素ネットワークの接続形態が発見された。異なる別の方法により、乳がん細胞ではPIK3CA野生型細胞がMAPK依存性の回路を使っていること、急性骨髄性白血病ではリン酸化酵素TTKが重要であることが確認された。我々のネットワーク回路のリン酸化プロテオームシグネチャーは、がん細胞の表現型と遺伝子型の両方に関係するリン酸化酵素接続形態を明らかにすることができる。