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脳波のシグネチャーが大うつ病の抗うつ薬応答を予測する
Nature Biotechnology 38, 4 doi: 10.1038/s41587-019-0397-3
抗うつ薬は広く処方されているが、有効性はプラセボに対してそれほど高くない。原因の一端は、大うつ病の臨床診断が生物学的に多様な状態を含むことにある。本研究では、プラセボと比較した抗うつ薬治療に対する応答の神経生物学的シグネチャーを発見することを目指した。我々は、安静時の脳波(EEG)のための潜在空間機械学習アルゴリズムを設計し、それを最大のイメージング付きプラセボ対照抗うつ薬試験のデータ(n = 309)に用いた。症状の改善は、(プラセボに対して)抗うつ薬セルトラリン特異的に、かつ異なる試験場所およびEEG装置にわたって一般化可能な形で、強力に予測された。このセルトラリン予測的なEEGのシグネチャーを2つのうつ病サンプルに一般化すると、一般的な抗うつ薬応答性が反映され、反復的な経頭蓋磁気刺激治療の転帰に対する異なる関連性が認められた。さらに、セルトラリンの安静時EEGシグネチャーは、経頭蓋磁気刺激とEEGを同時に行って評価される前前頭神経の応答性を示すことが明らかになった。今回の知見は、EEG用コンピューターモデルによる抗うつ薬治療の神経生物学的な理解を深め、うつ病の個別化治療に向けて臨床的な道筋を付けるものである。