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物理的に相互作用する細胞の塩基配列解読による細胞間クロストークの解析

Nature Biotechnology 38, 5 doi: 10.1038/s41587-020-0442-2

近接細胞間のクロストークは、細胞のシグナル伝達、増殖、分化など、多くの生物学的過程の基礎となっている。現在の単一細胞ゲノム技術では、組織を解離させた後で個別に各細胞のプロファイリングを行うため、細胞間相互作用の情報が失われている。本論文では、物理的に相互作用する細胞(PIC)の分取と単一細胞RNA塩基配列解読とを組み合わせてPICの塩基配列を解読するPIC-seqという方法を紹介する。コンピューターモデリングを用いることにより、PIC-seqではin situの細胞間相互作用が系統的にマッピングされ、その分子クロストークの特性が明らかにされる。我々はPIC-seqを用いて、マウス新生仔肺の免疫–上皮PICなどさまざまな相互作用を調べた。in vitroおよびin vivoでのT細胞と樹状細胞(DC)の相互作用に注目してT細胞–DC相互作用選択性のマップを作製し、マウスの流入領域リンパ節でDCと相互作用している主要なT細胞のサブタイプが制御性T細胞であることを見いだした。T細胞–DCペアの分析では、病原体を提示する遊走性DCとT細胞の間の相互作用に特異的なプログラムが明らかになった。PIC-seqは、細胞間相互作用に特異的な経路の特性を高分解能で評価するための直接的で広く応用可能な技術となる。

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