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固定組織中のタンパク質とRNAの多重デジタル空間プロファイリング

Nature Biotechnology 38, 5 doi: 10.1038/s41587-020-0472-9

デジタル空間プロファイリング(DSP)は、タンパク質またはRNAの高度多重空間プロファイリング法で、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料での使用に適している。この方法は、(1)オリゴヌクレオチド標識を用いるタンパク質またはRNAの多重読み取り、(2)光開裂性(photocleavable;PC)リンカーによって親和性試薬(抗体またはRNAプローブ)に結合したオリゴヌクレオチド標識、(3)1~5000個程度の細胞をカバーする対象領域のPCオリゴヌクレオチドを任意の空間パターンで放出させるために組織試料に照射される光開裂光に依拠する。DSPは抗体の読み取りによって対象領域内の単一細胞の感度を実現しており、600個程度のmRNA転写物でもRNAの検出が可能である。nCounterシステムではリンパ組織、大腸がん組織、自己免疫組織の最大44タンパク質と96遺伝子(RNAプローブ928個)、次世代塩基配列解読法(NGS)では1412遺伝子(RNAプローブ4998個)の空間プロファイリングが示された。DSPはバイオバンク試料のタンパク質やRNAだけでなく、患者検体の免疫マーカーのプロファイリングへの使用も考えられ、臨床判断に有用な予後予測能を持つ可能性がある。

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