Perspective
生物製剤製造のウイルス汚染と新たな治療法への影響
Nature Biotechnology 38, 5 doi: 10.1038/s41587-020-0507-2
組換えタンパク質製剤、ワクチン、血漿製剤の安全性には長年の実績がある。しかし、細胞培養による組換えタンパク質の製造は、今なおウイルス汚染を受けやすい。そうした汚染は回復に何百万ドルものコストを要し、治療を受けられない患者を生じかねない他、極めてまれであるために、過去の事象から学ぶことが困難である。バイオテクノロジー企業群からなるコンソーシアムが、マサチューセッツ工科大学と共に、そのような事象に関するデータを収集するために集まった。この業界規模の研究は、最もありふれたウイルスの汚染物質、その汚染源、影響を受ける細胞株、是正措置、そうした事象による影響の理解に寄与する。これらの成果は、既存の製剤にとどまらず、治療上大いに有望視される新たな細胞療法や遺伝子療法に関しても、安全で効果的な製造に意味を持つ。