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ChromIDはクロマチン標識のタンパク質インタラクトームを明らかにする
Nature Biotechnology 38, 6 doi: 10.1038/s41587-020-0434-2
クロマチン修飾は、タンパク質をゲノムに動員することによってゲノムの機能を調節する。しかし、異なるクロマチン修飾のタンパク質構成はいまだ完全には解明されていない。本研究では、天然のタンパク質ドメインをモジュール式の構成要素として用い、DNAメチル化、およびH3K4残基、H3K9残基、H3K27残基のヒストントリメチル化に対する選択性を示す人工クロマチンリーダー(engineered chromatin reader;eCR)を開発した。我々はまず、マウス胚性幹細胞でeCRを安定的に発現させて、その核内局在、ゲノム分布、およびヒストン修飾への結合選好性を評価することにより、生細胞での選択的クロマチン結合分子としてのeCRの有用性を実証した。そして、eCRをビオチンリガーゼBASUに融合させることで、クロマチン依存的なタンパク質インタラクトームを近位ビオチン標識に基づいて特定するChromID法を確立し、この方法をマウス幹細胞の異なるクロマチン修飾に応用した。また、合成二重修飾リーダーを用い、H3K4me3とH3K27me3で標識された二価修飾プロモーターのタンパク質構成も明らかにした。以上の結果から、クロマチン上のタンパク質相互作用ネットワークを詳細に捉えるChromIDの能力が明らかになった。