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COVID-19の重症度は、単一細胞解析で特定される気道上皮–免疫細胞相互作用と相関する
Nature Biotechnology 38, 8 doi: 10.1038/s41587-020-0602-4
重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する免疫応答と免疫機構を明らかにするために、我々は、臨床的に明確な中等度または重篤の患者19例と健常対照者5例の鼻咽頭検体と気管支検体の単一細胞RNA塩基配列解読を行った。その結果、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染に脆弱な気道上皮細胞の種類と状態が明らかになった。COVID-19患者では、上皮細胞のSARS-CoV-2侵入受容体ACE2に平均3倍の発現上昇が認められ、これは免疫細胞によるインターフェロンシグナルと相関していた。重篤例では、中等度例と比較して上皮細胞と免疫細胞の相互作用が強くなっていることがリガンド–受容体発現プロファイルによって示され、CCL2、CCL3、CCL20、CXCL1、CXCL3、CXCL10、IL8、IL1BおよびTNFを発現する炎症性マクロファージなどの活性化した免疫細胞が認められた。重篤例と中等度例の転写の差異は、高度な炎症性組織傷害、肺損傷、および呼吸器不全という臨床所見に寄与していると考えられる。今回のデータは、重篤なCOVID-19での免疫の過剰な活性化がCCR1経路やCCR5経路の薬理学的阻害で抑えられる可能性を示唆している。