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CD177+前方最終内胚葉からの膵β細胞の作製
Nature Biotechnology 38, 9 doi: 10.1038/s41587-020-0492-5
ヒト多能性幹細胞をin vitroで膵臓系譜や肝臓系譜へ分化させる方法は、これら2つの臓器に特異的な別個の内胚葉亜集団を識別して分離することができないために制限されている。今回我々は、CD177/NB1糖タンパク質と誘導性T細胞共刺激リガンドCD275/ICOSLという表面マーカーを用いることにより、ヒト多能性幹細胞由来の外見上均質な最終内胚葉の中から、それぞれ膵臓と肝臓の前駆細胞を分離可能であることを明らかにした。CD177とCD275によって識別される前方最終内胚葉(ADE)亜集団は、カノニカルなWNTシグナル伝達経路と非カノニカルなWNTシグナル伝達経路の活性化が正反対である。CD177+ ADEは、WNT、NODAL、BMPの分泌型アンタゴニストCERBERUS1を発現および合成し、膵臓運命へと指定される。CD275+ ADEは、古典的Wntシグナル伝達を受けて、肝臓運命へと指定される。分離されたCD177+ ADEはin vitroにおいて、非選別の分化培養細胞と比べて、膵臓前駆細胞および機能的により成熟したグルコース応答性β様細胞へと、より均一に分化する。