Letter
成長する組織の神経調節を可能にする自在電子装置
Nature Biotechnology 38, 9 doi: 10.1038/s41587-020-0495-2
神経系を調節する生体電子装置は神経疾患の治療で有望視されている。しかし、寸法が固定であるために組織の急速な成長に適応することができず、発達の妨げとなる場合がある。乳幼児、小児、青年の場合、埋植された装置が体の成長で小さくなると、装置を交換するための追加手術が必要になり、治療介入と合併症が繰り返されることが多い。今回、in vivoの神経組織の成長に適応し、機械的制約が最小限の自在電子装置(morphing electronics)を用いて、この問題に取り組んだ。我々は、成長する組織とこの電子装置との境界面の応力を取り除く粘塑性電極とひずみセンサーで構成される、多層式の自在電子装置を設計および製作した。自在電子装置には埋植手術中に自己治癒する能力があるため、神経の境界面は再構成可能で継ぎ目のないものとなる。ラットが最も速く成長する時期に、直径が2.4倍に成長するラットの神経に自在電子装置が生じた損傷は最小限であり、装置は長期の電気刺激を生じて、機能的行動を妨げることなく2か月間にわたってモニタリングを行うことができた。自在電子装置は、成長に適応する小児電子医療への道を開く。