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ACE2とスパイクタンパク質のタンパク質間相互作用の抗体による遮断に基づくSARS-CoV-2代用ウイルス中和試験
Nature Biotechnology 38, 9 doi: 10.1038/s41587-020-0631-z
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に関しては、感染率や、集団免疫、予測される液性防御のみならず、臨床試験中と大規模接種後のワクチンの効果を明らかにするためにも、中和抗体を検出する強力な血清学的検査法が緊急に求められている。現在の代表的な方法は通常のウイルス中和試験で、これには生きた病原体とバイオセーフティーレベル3の実験室を必要とする。本論文では、アイソタイプや種によらずにウイルスのスパイクタンパク質の受容体結合ドメインを標的とし、免疫優性の全中和抗体を検出するSARS-CoV-2代用ウイルス中和試験を紹介する。この簡単で迅速な試験は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体タンパク質と受容体結合ドメインとの相互作用の抗体による遮断に基づいている。2か国の2つの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者コホートで行った検証試験は、99.93%の特異性と95~100%の感度を達成しており、複数のヒトコロナウイルスに対する抗体応答を区別する。この代用ウイルス中和試験は、バイオセーフティーレベル3の封じ込めを必要としないため、研究と臨床応用の両面でさらに幅広いコミュニティーに利用しやすいものとなっている。