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治療用の汎用的な改変T細胞が宿主の免疫拒絶に抵抗する
Nature Biotechnology 39, 1 doi: 10.1038/s41587-020-0601-5
改変T細胞はさまざまな悪性腫瘍に対する有効な治療法であるが、現在の手法は自己T細胞に依存しており、自己T細胞は製造が困難で費用がかさむ。レシピエントの免疫系に拒絶されない強力な同種異系T細胞を開発する取り組みには、外来細胞をさまざまな機構で排除するT細胞応答とナチュラルキラー(NK)細胞応答の両方を止めることが必要である。今回我々は、活性化された宿主のT細胞とNK細胞を消失させて同種異系T細胞の拒絶を防ぐ受容体を作製した。作製した同種免疫防御受容体(alloimmune defense receptor;ADR)は、活性化リンパ球によって一時的に発現が増加する細胞表面受容体4-1BBを選択的に認識する。ADRを発現するT細胞は、in vitroおよびin vivoで同種反応性リンパ球を標的とすることで細胞の拒絶に抵抗するが、休止期リンパ球には作用しない。キメラ抗原受容体とADRを共発現する細胞は、マウスで維持され、造血器腫瘍と固形腫瘍の同種異系T細胞療法の2つのマウスモデルで持続的に腫瘍を根絶させた。この方法は、拒絶に抵抗する「汎用的」な同種異系T細胞製品の作製を可能とし、免疫能のあるレシピエントで長期的な治療効果を発揮する。