Review Article
単一細胞のデータ統合の計算原理と課題
Nature Biotechnology 39, 10 doi: 10.1038/s41587-021-00895-7
単一細胞の多層的アッセイの開発は、細胞の不均一性に関して複数の次元を調べるための強力なツールを提供し、発生、組織恒常性、疾患に関する新たな知見をもたらす。単一細胞の多層的データの解析では、異なる層のデータをまとめるのに適切な戦略を立てることが大きな課題となる。この作業を指すものとして「データ統合」という用語が用いられており、それには個々のオミクスデータセットのバッチ補正から、クロマチン接近可能性や遺伝的変動と転写との関連付けまで、さまざまな手法が含まれる。既存の統合戦略は類似の数学的知識を利用するが、通常は目的が異なり、それぞれの原理と仮定に依拠する。このため、既存の方法の整理を行って新たな方法の開発を可能とするためには、新たな定義と概念が必要である。