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アデニン塩基エディターの改変がバイスタンダーシトシンの編集を抑制する
Nature Biotechnology 39, 11 doi: 10.1038/s41587-021-00943-2
アデニン塩基エディター(ABE)は、目的のゲノム部位でAからGへの特異的な変換を触媒する。しかし、ABEはその標的部位でシトシンの脱アミノ化も引き起こす。このシトシン編集活性を抑制するために、我々は、一般に使用されるアデノシンデアミナーゼTadA7.10を改変し、TadA7.10にD108Q変異を有するABE7.10ではシトシン脱アミノ化活性が10分の1に低下していることを明らかにした。このD108Q変異は、最近開発されたABE8eとABE8sという2種類の高活性ABEでもシトシン脱アミノ化活性を抑制し、オフターゲットRNA編集を抑制するV106W変異と両立する。P48R変異を持つABE7.10ではシトシン脱アミノ化活性の上昇とアデニン編集率の大幅な低下が認められ、TCからTT、またはTCからTGへの変換を行うTC特異的な塩基編集ツールが得られた。これは塩基エディターの用途を広げるものである。