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xPoreでナノポア直接RNA塩基配列解読データから差次的RNA修飾を見いだす
Nature Biotechnology 39, 11 doi: 10.1038/s41587-021-00949-w
N6-メチルアデノシン(m6A)などのRNA修飾は、細胞のRNA種の機能を調節する。しかし、RNA修飾の差異を定量化することは容易でない。今回我々は、ナノポアによる直接的なRNA塩基配列解読(RNA-seq)のデータから差次的RNA修飾を見いだすxPoreという計算機的方法を開発した。トランスクリプトーム規模のm6Aプロファイリングデータでこの方法を評価した結果、xPoreによってm6A部位の位置が一塩基の分解能で特定され、細胞内の修飾RNA種の比率が推定され、各条件の差次的修飾率が定量化されることが示された。対応する対照試料のない6系統の細胞株と多発性骨髄腫患者検体の直接RNA-seqデータにxPoreを用いると、細胞タイプ間で多数のm6A部位が保存されているが、一部では修飾率に大きな差が認められることが明らかになった。今回の結果は、RNA修飾が直接RNA-seqデータから高精度で見いだされ、単一のハイスループット実験からの差次的修飾と発現の解析が可能となることを示している。