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ハイコンテントの単一細胞コンビナトリアル・インデキシング
Nature Biotechnology 39, 12 doi: 10.1038/s41587-021-00962-z
トランスポザーゼに基づくライブラリー構築による単一細胞コンビナトリアル・インデキシング(sci)は、単一細胞ゲノミクス分析の処理能力を高めるが、1細胞当たりの使用可能なリード数という観点ではカバー率が低くなる。今回我々は、ウラシルに基づくアダプター切り換え法「s3」(symmetrical strand sci)を開発した。これは、タグメンテーションを経てソースDNAから有効な塩基配列解読ライブラリー断片への変換率を改善するものである。この化学反応を、ヒト皮質組織とマウス全脳組織でのクロマチン接近可能性の分析に応用したところ(s3-assay for transposase-accessible chromatin;s3-ATAC)、マウスデータセットでは、1細胞当たりの使用可能なリード数が、利用可能な他の方法と比較して6~13倍に改善されることが示された。s3を単一細胞の全ゲノム塩基配列解読(s3-WGS)と全ゲノムクロマチンコンホメーション(s3-GCC)に応用したところ、1細胞当たりの使用可能なリード数は、sci-DNA塩基配列解読と比べて148倍に、sci-HiCと比べて14.8倍に改善された。我々は、s3-WGSとs3-GCCが患者由来の膵臓がん細胞株のサブクローン性のゲノム変化を明らかにすることを示した。s3プラットフォームは、sci-METやCUT & Tagなど、トランスポザーゼに基づく他の技術にも対応すると考えられる。