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分子バーコーディングを用いた高感度な多重COVID-19診断を可能にするLAMP-Seq
Nature Biotechnology 39, 12 doi: 10.1038/s41587-021-00966-9
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイクを封じ込めるには、接触追跡や隔離策と共に、大規模集団の頻繁な検査が極めて重要となる。本論文では、高度にスケーラブルな改変型のRT–LAMP(reverse transcription loop-mediated isothermal amplification)法であるLAMP-Seqを紹介する。未精製の生体試料が1回の加熱工程でバーコード化および増幅され、プールされた生成物を塩基配列解読法で一括解析する。市販の試薬を使用したLAMP-Seqの検出限界は95%の信頼度で1 μl当たり約2.2分子であり、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の配列リードに対して完全に近い特異度を示した。標準的なRT–qPCRで98検体が陽性と判定されたスワブ検体676点によるオープンソースプロトコルの臨床的検証では、閾値到達サイクル数が33までの被験者群において、100%の感度と99.7%の特異度が、極めて低い材料コストで得られることが示された。結果が得られるまでの時間が24時間以内であり、低コストで新たなインフラをほとんど必要としないことから、LAMP-Seqは統合的公衆衛生サーベイランスプログラムの一環として頻繁な検査に容易に利用可能である。