Article

単一細胞の対立遺伝子およびハプロタイプ特異的なコピー数をCHISELで評価する

Nature Biotechnology 39, 2 doi: 10.1038/s41587-020-0661-6

単一細胞バーコーディング技術は、数千の個々の細胞のゲノム塩基配列同時解読を可能にするが、細胞当たりの塩基配列解読カバー率が極めて低い(0.05倍未満)。そのようなデータから数メガ塩基規模の大きな領域の総コピー数を導くことは可能であるが、コピー数に変化のないがんのヘテロ接合性喪失(LOH)など、対立遺伝子特異的な重要な変異は見落とされる。本論文で我々は、数百から数千個の細胞のわずかなシグナルを統合することによって、単一細胞や細胞亜集団の対立遺伝子およびハプロタイプ特異的なコピー数を推定する方法であるCHISEL(copy-number haplotype inference in single cells using evolutionary links)を紹介する。我々は、乳がん患者2人から得た約2000個の細胞の単一細胞塩基配列解読データセット10組にCHISELを用いた。これらの検体には大規模で対立遺伝子特異的なコピー数異常(CNA)が見いだされ、コピー数に変化のないLOH、全ゲノム重複(WGD)、鏡像的サブクローン性CNAも含まれていた。こうした対立遺伝子特異的CNAは、よく知られている乳がん遺伝子を含むゲノム領域に影響を及ぼす。我々は腫瘍進化の再構築の改良も行って、対立遺伝子特異的CNAの発生がWGDの前か後かを特定し、固有のCNAを特徴とする低頻度の亜集団を見いだし、収斂進化の証拠を発見した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度