Letter
神経上膜を介した侵害受容器の光遺伝学的活性化が炎症を開始させ増強する
Nature Biotechnology 39, 2 doi: 10.1038/s41587-020-0673-2
侵害刺激による侵害受容器感覚ニューロンの活性化は、疼痛を引き起こすとともに毛細血管透過性と血流量を増加させて神経性の炎症を引き起こすが、侵害受容器が免疫系とも相互作用しているのかはいまだ十分に解明されていない。本論文で我々は、光遺伝学によって神経上膜を介した侵害受容器の選択的神経調節を行う神経技術を紹介し、侵害受容器の活性化が疼痛防御行動と炎症の両方を促進することを明らかにする。我々の無線光電子システムは、神経を取り囲む柔軟な座骨神経インプラントに埋め込まれた大きさ1 mm未満の発光ダイオードによって構成され、頭部に装着した小型の制御ユニットを動力源として動作する。チャネルロドプシンを侵害受容器のみで発現させた自由行動マウスにおいて軸索を光刺激すると、痛みに特徴的な行動が生じた。これは、脊髄への順行性入力を反映している。炎症のない皮膚での免疫反応と既成の炎症の増強も生じたが、これは侵害受容器末梢端の逆行性活性化によるものである。以上の結果は、侵害受容器と免疫細胞との関係を明らかにしており、炎症の治療に関して重要な意味を持つと考えられる。