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RNAタイムスタンプがRNA塩基配列解読で単一分子の時間齢を明らかにする

Nature Biotechnology 39, 3 doi: 10.1038/s41587-020-0704-z

現在の単一細胞RNA塩基配列解読(RNA-seq)の手法では、遺伝子発現の動態に関して限られた情報しか得られない。本論文では、RNA編集を利用してRNA-seqデータ中の個々のRNAの時間齢を推測する方法であるRNAタイムスタンプを紹介する。我々は、タイムスタンプを導入するために、MS2キャプシドタンパク質を融合させたアデノシンデアミナーゼADAR2を動員する複数のMS2結合部位からなるレポーターモチーフでRNAを標識した。標識RNAにADAR2が結合すると、AからIへの編集が経時的に蓄積し、これによってRNAの齢を1時間スケールの正確度で推測できる。同じプロモーターによって生じる複数のタイムスタンプ付きRNAの観察結果を組み合わせることで、そのプロモーターが活性を有していたタイミングを明らかにできる。我々は、この系によって過去の複数の転写事象の存在とタイミングを推測できることを実証した。さらに我々はこの方法を用い、過去の転写活性のタイミングに従って単一細胞のクラスター化を行った。RNAタイムスタンプは、RNA-seqワークフローに時間情報を組み込むことを可能にする。

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