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Slide-seqV2によるほぼ細胞レベルの分解能の高感度な空間的トランスクリプトミクス

Nature Biotechnology 39, 3 doi: 10.1038/s41587-020-0739-1

組織中の分子の位置を測定することは、組織の形成や機能を理解する上で極めて重要である。我々は以前、10 μmの空間分解能でトランスクリプトーム規模のRNA検出を可能とするSlide-seqという技術を開発した。今回我々は、Slide-seqV2について報告する。Slide-seqV2は、ライブラリーの作製、ビーズの合成、およびアレイのインデックス化での改善を組み合わせることで、RNAの捕捉効率が単一細胞RNA-seqデータの約50%(Slide-seqの約10倍)に達し、液滴に基づく単一細胞RNA-seq法の検出効率に近づいている。我々はまず、Slide-seqV2の検出効率を利用して、マウス海馬ニューロンの樹状突起に局在するmRNAを特定した。次に、我々はSlide-seqV2データの空間情報を単一細胞軌跡解析ツールと統合して、マウス新皮質の時空間的な発生の特徴を明らかにし、これによってSlide-seqではうまく捉えられなかった基本的な遺伝子プログラムが明らかになった。ほぼ細胞レベルの分解能と高い転写物検出効率を兼ね備えたSlide-seqV2は、多くの実験状況において有用である。

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