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密度保存型のデータ可視化によって単一細胞のトランスクリプトームの変動性を評価する
Nature Biotechnology 39, 6 doi: 10.1038/s41587-020-00801-7
t分布型確率的近傍埋め込み法(t-SNE)や均一マニホールド近似投影法(UMAP)などの非線形データ可視化法は、単一細胞の複雑なトランスクリプトーム景観を二次元または三次元にまとめる。しかし、そうした方法は元の空間におけるデータ点の局所的密度を無視するため、密に存在する細胞のサブセットがデータセット中の転写的多様性の許す以上の視覚的空間を与えられ、可視化が誤解を招くものとなることが多い。本論文では、t-SNEに基づく密度保存型の可視化ツールden-SNEと、UMAPに基づく密度保存型の可視化ツールdensMAPを紹介する。我々は、これらが、トランスクリプトームの変動性に関する情報を単一細胞RNA塩基配列解読データの視覚的解釈に正確に組み込むことができるのを実証する。我々の方法を最近公表されたデータセットに適用したところ、血中および腫瘍中の免疫細胞、ヒト免疫細胞の分化、線虫の一種Caenorhabditis elegansの発生軌跡のトランスクリプトーム変動性の不均一性を含め、さまざまな生物学的過程のトランスクリプトーム変動性における著しい変化が明らかになった。今回の方法は、他の科学分野の高次元データの可視化にも容易に応用可能である。