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ナノポア塩基配列解読とCIRI-longによる環状RNAの網羅的プロファイリング
Nature Biotechnology 39, 7 doi: 10.1038/s41587-021-00842-6
circRNAとそれに対応する直鎖状メッセンジャーRNAの類似性を考えると、短いRNA塩基配列解読リードから環状RNA(circRNA)の塩基配列を再構築することは容易ではない。従来の塩基配列解読法では、完全長circRNAをハイスループットで見いだすことができなかった。本論文では、ナノポア技術を用いてcircRNAアイソフォームの濃縮と完全長塩基配列解読を行うプロトコルを紹介する。環状逆転写とサイズ選択によって、全RNAからcircRNAを既存の方法の20倍まで濃縮することができた。我々はCIRI-long(circRNA identifier using long-read sequencing data)というcircRNA塩基配列再構築アルゴリズムを開発した。このワークフローは、模擬データを用いて、イルミナ塩基配列解読や定量的リアルタイムRT–PCRと比較して検証された。我々は、CIRI-longを用いて成体マウスの脳試料を分析し、ミトコンドリア由来circRNAと転写リードスルーcircRNAを含むcircRNAの系統的なプロファイリングを行った。特殊なスプライシングパターンや発現パターンを示す新しいタイプのイントロン自己結合circRNAが発見された。今回の方法は、ナノポアロングリードを利用し、完全長circRNA塩基配列の偏りのない再構築を可能とするものである。