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Scanning SWATHによる超高速プロテオミクス

Nature Biotechnology 39, 7 doi: 10.1038/s41587-021-00860-4

大規模な試料シリーズや長期的な実験で、プロテオームを正確に定量することは今なお容易でない。本論文では、データ非依存型解析法であるScanning SWATHを紹介する。Scanning SWATHは、質量分析のデューティーサイクルを加速し、これによって短いグラジエントの高流量クロマトグラフィー(800 μl/分)と組み合わせて定量的プロテオームを得る。プリカーサー分離ウインドウの連続的な動きを利用してプリカーサーの質量をタンデム質量分析のフラグメントトレースに割り当てることにより、0.5~5分のクロマトグラフィーグラジエントでは、プリカーサー同定数が従来のデータ非依存型解析法との比較で約70%増加した。超高速プロテオミクスの応用性の実証は、薬物作用機序スクリーニングおよび血漿プロテオミクスで行った。Scanning SWATHによるプロテオームは、静真菌性のアゾール類とスタチン類の作用機序を捉えた。また我々は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症度に関する血漿プロテオームバイオマーカー43種類を確認し、新たに11種類を発見して、患者の分類とバイオマーカーの発見を進展させた。以上の結果から、高速プロテオーム実験の大幅な高速化と深度の向上が示された。これは、プロテオームによる薬物スクリーニングと臨床研究を促進するものである。

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