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抗原特異的CD4+ T細胞を確実に染色する親和性向上型HLAクラスII二量体
Nature Biotechnology 39, 8 doi: 10.1038/s41587-021-00836-4
ペプチド–主要組織適合遺伝子複合体(pMHC)多量体は、ワクチンの有効性からがんの免疫療法までのさまざまな研究で、抗原特異的T細胞の検出を可能とする。しかし、この手法は、CD4+ T細胞の検出でpMHCクラスIIに用いる場合は信頼性が低い。本論文では、分子生物学的手法と免疫学的手法を組み合わせることで、CD4結合親和性が向上したヒト白血球抗原(HLA)のHLA-DP、HLA-DQ、HLA-DRの各分子をコードする塩基配列をクローン化し(CD4と親和性向上型HLA-DP4とのKdは8.9 ± 1.1 μM)、抗原特異的T細胞をin vitro解析でもex vivo解析でも従来の多量体より良好に染色する親和性向上型クラスII二量体を作製した。我々は、多くの祖先集団において最も頻度が高いHLA対立遺伝子HLA-DP4に関する二量体の網羅的ライブラリーを用いることで、多様な腫瘍関連抗原に由来する103のHLA-DP4拘束性エピトープをマッピングし、コグネイトT細胞抗原受容体(TCR)遺伝子をin vitro刺激CD4+ T細胞からクローン化した。HLA-DP、HLA-DQ、HLA-DRの各アレルに関して親和性向上型クラスII二量体が利用できることは、ヒトCD4+ T細胞応答の検討に役立つと考えられる。