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AQRNA-seqによる細胞内低分子RNA景観の定量的マッピング

Nature Biotechnology 39, 8 doi: 10.1038/s41587-021-00874-y

現在の次世代RNA塩基配列解読法(RNA-seq)では、試料内の低分子RNAが正確に定量されない。これは、ライブラリー作成時の捕捉、連結、および増幅で塩基配列に依存するバイアスがかかるためである。我々は、AQRNA-seq(absolute quantification RNA-sequencing)という方法を紹介する。この方法は、バイアスを最小化し、試料中の全ての低分子RNAに関して塩基配列リード数とコピー数との直接的な線形相関が得られる。ライブラリー作成とデータ処理の最適化と検証には、963種類のマイクロRNAの参照ライブラリー、さまざまな長さの標準オリゴヌクレオチド、およびRNAブロットを用いた。AQRNA-seqをヒトがん細胞群に用いることで、がんのプログレッションの過程で変化する、800以上の検出可能なmiRNAが明らかになった。一方、AQRNA-seqを二次構造と多くの修飾という課題のある細菌の転移RNAプールに用いると、tRNAアイソアクセプターレベルの80倍の差異、ストレスが誘発する部位特異的なtRNA断片化、定量的修飾マップ、およびストレスが誘発してtRNAが推進するコドンバイアス翻訳の証拠が明らかになった。このように、AQRNA-seqは細胞内低分子RNA景観の定量的マッピングを行う多用途の手段となる。

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