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全ゲノム塩基配列解読によるがん変異検出のベンチマーキングのためにコミュニティーの基準となる試料、データおよびコールセットを構築する

Nature Biotechnology 39, 9 doi: 10.1038/s41587-021-00993-6

塩基配列解読パイプラインのセットアップまたはさまざまなアルゴリズムの性能のベンチマーキングを目的とする、標準化されたDNAデータセットを得るための試料が存在しないことが、がんゲノミクスの実施と利用を妨げている。本論文では、異数性ゲノムを持ち、極めて不均質で、体細胞変異が多い乳がん細胞株と同一由来のリンパ芽球様細胞株に由来する腫瘍・正常ゲノムDNA(gDNA)ペア試料から得られた基準コールセットを紹介する。さまざまな塩基配列解読プラットフォームによる全エキソーム塩基配列解読(WES)、およびカバー率が2000倍を超える選択的塩基配列解読により、このコールセットの体細胞変異と生殖系列バリアントの両方を部分的に検証した。それはゲノム領域の82%に広がり、信頼度が高い。このgDNA基準試料は臨床検体から得られた初代がん細胞を代表するものではないが、塩基配列解読パイプラインのセットアップでは、技術、分析法、およびインフォマティクスに由来する潜在的な偏りを最小化するだけでなく、「腫瘍のみ」または「同一由来の腫瘍・正常ペア」の解析のベンチマーキングを行うためのまたとない情報資源にもなる。

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