Analysis

全ゲノムおよび全エキソームの塩基配列解読で最高のがん変異検出を行うために

Nature Biotechnology 39, 9 doi: 10.1038/s41587-021-00994-5

がん精密医療の臨床応用では、真のがん特異的変異と次世代塩基配列解読法(NGS)の各工程で入り込んだエラーとを識別できる正確な検査が必要となる。これまでのところ、バルクの塩基配列解読の試験では、施設間の再現性の影響も、バリアントの発見に影響を及ぼす生物学的因子、技術的因子、および電算的因子も検討されていない。本論文では、腫瘍細胞株と正常細胞株をペアにした体細胞変異の系統的な解析により、6施設での検出の再現性と正確度に影響を及ぼす因子を見いだしたことを示す。全ゲノム塩基配列解読(WGS)と全エキソーム塩基配列解読(WES)を用い、投入量と腫瘍純度が異なるさまざまなタイプの試料、ならびに複数のライブラリー構築プロトコルとそれに続く9種類のバイオインフォマティクスパイプラインによる処理に関して、再現性の評価を行った。その結果、リードカバー率とコール法はWGSとWESの両方で再現性に影響を及ぼすが、WESの性能は挿入断片のサイズ、ゲノムのコピー含量、および包括的不均衡スコア(GIV;G > T/C > A)の影響を受けることが明らかになった。最後に、ライブラリー作製プロトコル、腫瘍含量、リードカバー率、およびバイオインフォマティクスの過程を同時に考慮して、がん変異検出を目的とするNGS実験の再現性と正確度を向上させるために実行可能な手法を推奨する。

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