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scSPRITEによる高次の3Dゲノム構成の単一細胞評価
Nature Biotechnology 40, 1 doi: 10.1038/s41587-021-00998-1
ゲノムの三次元(3D)構成は核機能のさまざまな側面にとって重要であるが、単一細胞レベルでの評価は困難である。この問題に対処するため、我々は、scSPRITE(single-cell split-pool recognition of interactions by tag extension)を開発した。scSPRITEは、スプリット・アンド・プール型のバーコーディング法により、同一の核内と3D空間配置内のDNA断片を標識する。scSPRITEはDNAの多元的接触を評価するため、近接ライゲーションを上回る分解能の単一細胞内マップが得られる。数千個のマウス胚性幹細胞にscSPRITEを応用すると、染色体テリトリー、活性コンパートメントと不活性コンパートメント、トポロジカル関連ドメイン(TAD)、さらにはさまざまな核内小体の周囲に構成される長距離の染色体間構造など、既知のゲノム構造が検出された。こうした構造は細胞集団間で異なるレベルの不均一性を示しており、TADが細胞の間でゲノム構成の動的な単位となっていることが明らかになった。scSPRITEは、不均一な細胞集団のゲノム構造の研究に不可欠なツールとなることが期待される。