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空間的データと単一細胞トランスクリプトームデータの統合によるマウスの器官形成の解明

Nature Biotechnology 40, 1 doi: 10.1038/s41587-021-01006-2

単一細胞の分子プロファイリングは発生の分子基盤の解明を進展させてきた。しかし、現在の手法は概して組織からの細胞の分離に依存しており、調節過程の重要な空間的背景が失われる。今回我々は、画像に基づく単一細胞トランスクリプトミクス法であるseqFISH(sequential fluorescence in situ hybridization)を用いて、8~12体節期マウス胚の組織切片中の387の標的遺伝子のmRNAを検出した。2つの単一細胞トランスクリプトームアトラスによる多重転写測定と空間的背景の統合により、胚全体の細胞が評価され、seqFISHでプロファイリングされない空間分解された遺伝子発現が推定されることが示された。我々は、この高分解能の空間マップを用いて、中脳後脳境界と発生中の腸管のパターン形成の重要な段階を解析した。その結果、腸管の食道前駆細胞集団と気管前駆細胞集団の初期の背腹分離など、単一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)データからは見えない細胞分化の軸が明らかになった。今回の方法は、複雑な組織や発生における細胞運命決定を研究する手法となる。

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