Analysis
血漿と単一免疫細胞の統合解析がCOVID-19感染者の代謝変化を発見する
Nature Biotechnology 40, 1 doi: 10.1038/s41587-021-01020-4
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染中の免疫細胞における代謝変化の解明が進むことで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が経験する臨床症状の大きな多様性が説明される可能性がある。今回、COVID-19感染者198人を対象に、臨床診断から1週間の間に反復的な採血を行って血漿中の代謝物量とタンパク質量の統合解析と単一細胞マルチオーム解析を実施し、末梢免疫応答に関連する代謝変化を明らかにした。希少ながらも代謝的に優勢なT細胞亜集団の出現が示され、疾患の重症化は単球が代謝的に異なる2つのサブセットへ分岐することと相関することが明らかになった。この統合解析の結果から、血漿代謝物と細胞タイプ特異的な代謝再プログラム化ネットワークのロバストな相互作用が明らかになった。この相互作用は疾患の重症度に関連しており、生存率を予測する可能性がある。