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ゲノム規模のコンカテマーのナノポア塩基配列解読から相乗作用性の高次三次元クロマチンコンホメーションを明らかにする

Nature Biotechnology 40, 10 doi: 10.1038/s41587-022-01289-z

ヒトクロマチンには複数ゲノム座位間の高次三次元(3D)相互作用が多く見られるが、それが遺伝子調節で担う役割は明らかになっていない。従来の高次3Dクロマチンアッセイが測定するのは、ゲノムの全域にわたる長距離相互作用か、選択された標的の近距離相互作用のいずれかである。このギャップに取り組むため、我々はPore-C法を開発した。Pore-Cは、クロマチンコンホメーションキャプチャー法とコンカテマーのナノポア塩基配列解読を組み合わせて、近距離の高次クロマチン接触のプロファイリングをゲノム規模で行う手法である。我々はChromunityという統計的方法も開発した。これは、高次接触の頻度がバックグラウンドを有意に上回るゲノム座位群(「シナジー」)を特定するものである。これらの方法をヒト細胞株に応用したところ、シナジーは活性クロマチンのエンハンサー、プロモーター、転写活性が高く系統を決定する遺伝子に多いことが明らかになった。前立腺がん細胞では、その中にアンドロゲン駆動性転写因子の結合部位およびアンドロゲン調節性遺伝子のプロモーターが含まれていた。高発現遺伝子の高次接触のコンカテマーは、同一座位の対の接触と比べて脱メチル化されていた。乳がん細胞のシナジーは、複雑なDNAアンプリコンの一種であるタイフォナス(tyfonas)と関連していた。今回の結果は、ゲノム規模の高次3D相互作用と系統を決定する転写プログラムとを厳密に結び付け、Pore-CとChromunityが高次ゲノム構造を評価する拡張可能な方法であることを示している。

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