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鏡像DNAポリメラーゼによる生体安定型L-DNAアプタマーの定向進化と選択

Nature Biotechnology 40, 11 doi: 10.1038/s41587-022-01337-8

キラル反転核酸から作製した鏡像アプタマーは、ヌクレアーゼ抵抗性で生体安定性が極めて高いため、他にはない形で応用される機会が開かれている。しかし、大規模なランダム化L-DNAライブラリーから鏡像アプタマーの定向進化および選択を直接行うことは、我々の知る限りでは過去に実現されたことがない。今回我々は、鏡像DNAポリメラーゼによる生体安定型L-DNAアプタマーの定向進化および選択を目的とする「鏡像選択」スキームを開発した。個別のアプタマーを分離するための変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、およびその塩基配列を解読するためのL-DNA合成時解読法を併用し、天然のヒトトロンビンに結合するL-DNA配列の反復濃縮および鏡像ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅を行った。選択されたL-DNAアプタマーに基づき、生体安定型のトロンビンセンサーおよびトロンビン阻害剤を設計した。それは、ヌクレアーゼが多く生理学的に意味のある環境で、D-DNAアプタマーを迅速に分解するヒト血清が存在していても、機能を維持していた。大規模なランダム化L-DNAライブラリーから生体安定型L-DNAアプタマーの鏡像選択を直接行うことにより、標的とし得る生体分子の範囲は大幅に広がり、生体安定型のセンサーや治療薬、基礎研究ツールとしての用途が拡大する。

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