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蛍光プローブの生体直交型循環による生細胞と生組織の時空間多重免疫蛍光イメージング
Nature Biotechnology 40, 11 doi: 10.1038/s41587-022-01339-6
複雑な生物体の細胞では機能的変化が頻繁に起きているが、長時間にわたる生細胞の網羅的プロファイリングを可能にする方法はほとんど存在しない。本論文では、免疫蛍光による生細胞の多重時空間イメージング法「SAFE(scission-accelerated fluorophore exchange)」を紹介する。SAFEは、迅速な生体直交型クリックケミストリーを利用して標識細胞の表面から免疫蛍光シグナルを除去し、ナノモル濃度の試薬を数秒で循環させて同一試料の複数回の染色を可能とする。SAFEは毒性を持たず、分散細胞と無損傷生組織の両方で機能する。我々は、マウス末梢血単核細胞および骨髄細胞でマルチパラメーター(n ≥ 14)による非破壊的イメージングを行い、細胞分化のプロファイリングを行った。また、6日間にわたって好中球へ発達する骨髄前駆細胞の長時間多重イメージング、およびマウス肝の生組織のリアルタイムの多重循環も示した。SAFEは、生体の生理学的動態の研究に幅広い用途があると考えられる。