Article

体細胞変異率のゲノム規模のマッピングががんドライバーを明らかにする

Nature Biotechnology 40, 11 doi: 10.1038/s41587-022-01353-8

増殖優位性をもたらすがんドライバー変異の発見はがんの理解に重要であるが、腫瘍ゲノムの全域にみられる極めて変動の大きい体細胞変異率のモデル化に課題があるため、探索はタンパク質コード配列および特定の非コードエレメント(プロモーターなど)に限定されていることが多い。本論文では、ゲノムのあらゆる部位のドライバーエレメントおよびドライバー変異を探索する方法「Dig」を紹介する。我々は、ディープニューラルネットワークを用い、全ゲノムのがん特異的変異率をキロ塩基規模の分解能でマッピングした。次いでその推定結果を精緻化し、観察された変異数を予測された変異数と比較することにより、正の選択下にあるドライバー変異の証拠をゲノム全域で検索した。37種類のがんの変異率をマッピングし、そのマップを利用してイントロンの隠れたスプライス領域、5′非翻訳領域、および変異がまれな遺伝子に含まれる推定ドライバーを見いだした。ウェブによる探索に利用可能なこの高分解能の変異率マップは、ゲノム規模のドライバーの発見を可能にする情報資源である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度