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初代ヒトT細胞でCRISPR–Cas9切断後に頻発する異数性
Nature Biotechnology 40, 12 doi: 10.1038/s41587-022-01377-0
同種T細胞療法の臨床試験には、部位特異的ヌクレアーゼを用いてT細胞受容体(TCR)などの遺伝子を破壊しているものが多い。本研究では、単一細胞RNA塩基配列解読法を用いて、CRISPR–Cas9、ならびにTCR鎖およびプログラム細胞死タンパク質1の遺伝子を標的とするガイドRNAのトランスフェクションを行った初代ヒトT細胞に関して、ゲノム編集の結果を調べた。トランスフェクションの4日後には、TCRα座位の所在する14番染色体が最大9%の細胞で消失したこと、および最大1.4%の細胞で14番染色体が増加したことが確認された。TCRβ座位の所在する7番染色体は、9.9%の細胞で切断されていた。異常の検証は、蛍光in situハイブリダイゼーションおよびデジタル液滴PCRで行った。異数性は、増殖の抑制、p53活性化の誘導、および細胞死と関連していた。しかし、トランスフェクションの11日後にも、0.9%のT細胞は依然として14番染色体が欠損していた。このように、異数性および染色体切断はCRISPR–Cas9による切断で頻発する帰結であり、臨床プロトコルでの監視および最小化が必要である。