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空間分子イメージングによる固定組織での細胞レベルに満たない解像度のRNAおよびタンパク質ハイプレックスイメージング
Nature Biotechnology 40, 12 doi: 10.1038/s41587-022-01483-z
空間生物学では、組織内のRNAおよびタンパク質の空間分布を細胞レベルに満たない解像度で解明することが課題となっている。本論文では、蛍光分子バーコードの核酸ハイブリダイゼーションを複数サイクル実施することによって全生体試料のRNAおよびタンパク質を細胞レベルに満たない解像度で測定する「空間分子イメージング」という方法を紹介する。空間分子イメージングは感度が高く(1細胞当たり1~2コピー)、エラー率(同、誤検出0.0092件)および背景に存在するノイズ(同、約0.04カウント)が極めて低いことが示された。このイメージング法では、1試料当たり細胞約200万個のレベルで分析対象の三次元超解像度局在化データが得られる。細胞セグメンテーションは抗体を用いた形態ベースであり、ホルマリン固定パラフィン包埋試料に適合性がある。我々は、細胞レベルに満たない解像度でホルマリン固定パラフィン包埋組織(非小細胞肺がんおよび乳がん)のマルチオームデータ(RNA 980個およびタンパク質108個)を測定し、18を超える異なる細胞タイプ、10種の腫瘍微小環境、100対のリガンド・受容体相互関係を特定した。80万個超の単一細胞および約2億6000万個の転写物のデータが以下のリンク(http://nanostring.com/CosMx-dataset)からアクセス可能である。