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マウスの背腹脊髄の全体を対象とするワイヤレス閉ループ光遺伝学
Nature Biotechnology 40, 2 doi: 10.1038/s41587-021-01019-x
光電子システムは、非係留動物の脳全体を対象として狙ったニューロンや経路の正確な制御を行うことができるが、脊髄に関しては同様の技術が確立されていない。本論文では、非係留マウスの背腹脊髄の全体を対象として狙ったニューロンや経路の超高速ワイヤレス閉ループ操作を行うシステムを紹介する。我々は、微小な発光ダイオード(micro-LED)を内蔵し、脊髄の硬膜に適合する柔軟な伸縮性のキャリアを開発した。micro-LEDをシリコーン蛍光体マトリックスで被覆することで、機械的な保護が得られ、オプシンの大規模ライブラリーに合わせるための光変換が行われる。頭部に載せる軽量のワイヤレスプラットフォームは、micro-LEDへの給電を行い、感知される生理学的信号を低遅延でオンチップ処理して閉ループ光刺激制御を行う。この装置により、健常マウスと脊髄損傷マウスの移動運動制御でさまざまなニューロンサブタイプ、感覚経路、上脊髄投射が担う役割が明らかになった。