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ペアプライム編集による正確なゲノム削除
Nature Biotechnology 40, 2 doi: 10.1038/s41587-021-01025-z
ゲノム塩基配列を削除する従来の方法は、CRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)–Cas9とペアのシングルガイドRNA(sgRNA)に基づいているが、効率と精度が低い場合があり、小さな挿入欠失(インデル)や意図しない大規模な欠失、さらに複雑な再配列などの誤りを生じることもある。本論文では、プライム編集に基づく方法PRIME-Delを紹介する。この方法は、相対するDNA鎖を標的とする1対のプライム編集sgRNA(pegRNA)を用いて削除を誘導するもので、ニックを入れる部位のみならず修復の結果もプログラミングする。PRIME-Delの精度は、最長10 kbまでの削除のプログラミングにおいてCRISPR–Cas9とsgRNAのペアを大幅に上回り、編集効率は1~30%であった。PRIME-Delを用いることで、ゲノムの削除と短い挿入を組み合わせることもでき、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)部位から離れた切断点による削除が可能になる。また、プライム編集の構成要素を長時間発現させると、精度を損なわずに効率を大きく高めることができる。PRIME-Delは、ゲノム削除の正確で柔軟なプログラミング、エピトープ標識、そしておそらくはゲノム再編成のプログラミングに広く役立つことが期待される。