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小児では上気道のあらかじめ活性化されている抗ウイルス自然免疫が初期のSARS-CoV-2感染を抑制する
Nature Biotechnology 40, 3 doi: 10.1038/s41587-021-01037-9
成人と比較して、小児は重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染率が低く、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクもはるかに低い。しかし、若年者群の防御の基盤となっている分子機構はいまだ不明である。今回、SARS-CoV-2陰性の小児(n = 18)と同じ年齢層のSARS-CoV-2陽性の小児(n = 24)、および対応する成人(n = 44)に関して、上気道の単一細胞の転写の全体像を明らかにした(被験者は生後4週から77歳)。成人と比較して、小児は上気道上皮細胞、マクロファージ、樹状細胞での関連のパターン認識受容体[MDA5(IFIH1)、RIG-I(DDX58)など]の基底発現が高く、SARS-CoV-2感染に対する先天的抗ウイルス反応が強かった。さらに、主に小児で生じるKLRC1(NKG2A)+細胞傷害性T細胞などの特徴的な免疫細胞亜集団と、記憶表現型を持つCD8+ T細胞集団が検出された。本研究により、小児の気道の免疫細胞はウイルス感知の準備ができているために、SARS-CoV-2感染に対する初期の先天的抗ウイルス応答が成人よりも強くなっていることを示す証拠が得られた。