Review Article
分子組織生物学の空間的構成要素
Nature Biotechnology 40, 3 doi: 10.1038/s41587-021-01182-1
RNAやタンパク質の発現を空間的に分解してプロファイリングする方法は急速に進歩しており、健康状態と疾患状態にある細胞や組織の特徴を総合的に評価することが可能になりつつある。こうした技術を用いて得られる生物学的知見を最大化するためには、組織の空間的分析で重要な生物学的問題を明確に表現し、それを解決するために必要な計算ツールを開発することが極めて重要である。分析ツールの開発者は、検討が必要な細胞1つ1つに固有の分子的特徴を選択し、細胞の形状や形態的特徴をどう分析に取り入れるかを決定する必要がある。また、異なる組織試料をさまざまな長さスケールで比較するのに最適な方法も、今なお追求されている。こうした生物学的問題と関連する計算アルゴリズムを長さスケール横断的に分類し、解決が必要な共通の問題の特徴を明らかにすることにより、空間トランスクリプトミクスと空間プロテオミクスの一層の進歩が促進されると考えられる。