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スパースデコンボリューションが生細胞の超高分解能蛍光顕微鏡法を改善する
Nature Biotechnology 40, 4 doi: 10.1038/s41587-021-01092-2
生細胞の超高分解能(SR)顕微鏡法では、収集可能な最大光子束が空間分解能の主要な決定因子となっている。所与の光子束の有効分解能をさらに高めるために、我々は、生物学的構造体の希薄性と連続性に関する経験的知識を利用して、SR顕微鏡の分解能をほぼ2倍に高めるデコンボリューションアルゴリズムを開発した。Sparse-SIM(sparse structured illumination microscopy)と称するこの方法は、564 Hzまでのフレーム速度で約60 nmの分解能を達成し、生細胞中の小さな小胞融合細孔、ヌクレオポリンが形成する環状の核膜孔、ミトコンドリアの内膜と外膜の相対運動など、複雑な構造を解像することができる。また、スパースデコンボリューションを用いると、信号対雑音比が低くてもスピニングディスク共焦点法に基づくSIMの三次元分解能を上げることができ、分解能約90 nmの4色三次元生細胞SRイメージングが可能になった。以上により、スパースデコンボリューションは生細胞蛍光顕微鏡法の時空間分解能向上に有用と考えられる。