Article

KRAS阻害剤の発見および特性評価のためのコンホメーション固定抗体

Nature Biotechnology 40, 5 doi: 10.1038/s41587-021-01126-9

不活性なタンパク質コンホメーションを安定化させる低分子は、動的なタンパク質、または他の理由で扱いにくいタンパク質を薬剤化する戦略として十分に活用されていない。そのような阻害剤の発見と特性評価を促進するために、我々は、タンパク質の希少なコンホメーション状態を識別し誘導する分子プローブ用コンホメーション固定抗体(conformation-locking antibodies for molecular probe;CLAMP)を見いだすためのスクリーニングプラットフォームを考案した。この方法をKRASに用いることで、共有結合阻害剤が安定化させるKRASG12Cの開状態コンホメーションを認識するCLAMPが発見された。あるCLAMPは、KRASG12Cの共有結合修飾のin vivoでの可視化を可能にし、患者腫瘍中のKRASG12C阻害剤の応答不均一性の検討に使用することができた。別のCLAMPは、KRASG12Cの特定のコンホメーションを安定化させることで、KRASG12CのスイッチII領域(SWII)に結合する弱いリガンドの親和性を高め、ハイスループットスクリーニングでの薬剤開発のリードとなり得るようなリガンドの発見を可能にした。我々は、抗体と低分子の相補的な特性を組み合わせることで、動的なタンパク質の研究と薬剤化が促進されることを示した。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度