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慢性COVID-19のヒト化マウスモデル
Nature Biotechnology 40, 6 doi: 10.1038/s41587-021-01155-4
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は制御不能で過剰な免疫応答を示し、重度の免疫学的傷害を引き起こすことがある。既存の齧歯類モデルでは、重症患者の持続的な免疫病理が再現されない。本論文では、アデノ随伴ウイルスを用いてヒトACE2をヒト化MISTRG6マウスの肺に導入したCOVID-19のヒト化マウスモデルを紹介する。このモデルは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染に対するヒトの自然および獲得免疫応答を、慢性COVID-19の主要な特徴(体重減少、持続性のウイルスRNA、繊維化を伴う肺病理、ヒト炎症性マクロファージ応答、持続性のインターフェロン誘導遺伝子シグネチャー、T細胞リンパ球減少など)とともに、感染後最長28日間にわたって再現した。このモデルを用い、免疫病理に対する2種類の治療薬、すなわち患者由来抗体およびステロイドの試験を行ったところ、初期感染の抑制に重要な同じ炎症性マクロファージがその後の免疫病理を進行させることが明らかになった。このモデルは、COVID-19の疾患機序および治療法の評価を可能にするものである。