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酸化還元を調整したPETレポーターによるin vivoの自然免疫活性化の画像化
Nature Biotechnology 40, 6 doi: 10.1038/s41587-021-01169-y
NADPHオキシダーゼ2(NOX2)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)および関連酵素によって生じる酸化還元電位が高い活性酸素種および活性窒素種(ROS/RNS)は、自然免疫の重要なエフェクター分子である。酸化還元電位が高いラジカルと、バックグラウンドの生物学的シグナル伝達分子として働く低強度のROS/RNSとを画像化によって識別するのは困難である。本論文で紹介する4-[18F]フルオロ-1-ナフトール([18F]4FN)は酸化還元を調整した放射性医薬品であり、ヒトMPOおよびH2O2の産物によって酸化されるとタンパク質および細胞に選択的に結合し(H2O2のみではこれが起こらない)、ポジトロン放射断層撮影法(PET)で検出することができる。HL-60好中球様ヒト細胞をホルボールエステル(PMA)で活性化させると、[18F]4FNの保持は無刺激細胞の5倍となった。MPO特異的阻害剤(4-ABAH)は細胞による保持を95%以上遮断した。[18F]4FNのPET/CT撮影では、エンドトキシン誘発性毒素ショック、PMA誘発性接触皮膚炎、およびリポ多糖誘発性足首関節炎という3種類の自然免疫活性化マウスモデルでin vivoの炎症性病巣が識別された。4-ABAHおよびCybb-/-(Nox2-/-)の遺伝子欠損は、in vivoでの[18F]4FNの保持を強く抑止した。今回の結果から、[18F]4FNはPET/CTによる自然免疫活性化の強力なレポーターとして有望であることが示された。